2022年10月08日

金属3Dプリンターによる造形品質がばらつく理由と、従来の対策

──── なぜ金属3Dプリンターでの造形で品質がばらつくのでしょうか。

レーザー光が粉末金属材料に照射される過程で、発振器に異常が出たり、光学系に汚れが付着したり、ヒューム(煙)が滞留するなどの外乱によって、レーザーのパワーやスポット径、粉末の厚みが変化して熱の状態や熱の逃げ方が変わり、溶融状態が変化するという要因があげられます。

適正なパワーやスポット径を設定して造形しますが、これらの外乱によってレーザーがズレたり、スポット径が小さくなったり大きくなったりすることで、期待通りに粉末金属材料が溶けてくれません。
金属3Dプリンターによる造形品質がばらつく理由と、従来の対策

例えば、ヒューム(煙)を除去するために空気を流していますが、そのためのファンが故障していたり、光学系にヒュームが付着して熱レンズ効果でレーザーがズレたりします。粉末の厚みも均一にするようにしていますが、粉末の下のそれまで造形された部分の厚みもレーザーで溶融状態にしてから固めているために均一ではありませんし、粉末の湿気の状態によっても変わってきます。こうしたパラメーターが変わると、熱の状態が変わってくるので溶け方も変化し、どうしても品質にばらつきが生じやすくなってしまいます。

──── 従来、品質を担保するためどうしてきたのでしょうか。

金属3Dプリンターの品質のばらつきが生じ、パラメーターによって温度が低くなって溶融状態が変化するため、造形後にX線CTなどで内部を確認してみると線造形物の空隙欠陥が多く、強度が低下するなどの悪影響が出てしまいます。

こうした欠陥が多い場合造り直しが必要になりますが、どうしても一度、造形してみてから品質を診断・評価しなければなりません。X線CTで診断・評価すれば、ある程度は空隙欠陥ができる原因を特定できますが、まだノウハウの部分が大きく、経験と勘のようなものに頼らざるを得ない状況です。
金属3Dプリンターによる造形品質がばらつく理由と、従来の対策

近年は航空機の燃料噴射ノズルのように、金属3Dプリンターでの造形の技術を使って試作品だけでなく実際の製品を造形することも多いのですが、こうした課題が金属3Dプリンターでの造形のせいぜい8割ともいわれる歩留まりの悪さにつながり、手間や時間がかかってコストを押し上げる原因になっています。そのため、造形中にリアルタイムで診断し、その評価をフィードバックして安定的に造形していく方法が求められてきました。


──── リアルタイムで品質を維持する方法にはこれまでどんなものがあったのでしょうか。

こうした金属3Dプリンターでの造形の技術の課題については、これまでも多方面から多様な課題解決のための技術的な提案がなされてきました。一般的に最も多い解決法は、レーザーがあたって粉末金属を溶かす溶融池の温度分布を撮影してモニタリングする二色温度法で、このモニタリング方法は特に指向性エネルギー堆積法(DED)の金属3Dプリンターでの造形で実用化されていますが、レーザーヘッドのスキャン速度が速い粉末床溶融結合法(PBF)ではあまり使われていません。

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Posted by maa2ya8 at 16:35│Comments(0)
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